放射線科

放射線科 RI検査について
RI検査とは 

RI検査は、まず患者さんにRI(ラジオアイソトープ)で標識した「放射性医薬品」を投与します。検査の種類によって異なりますが、投与された放射性医薬品(放射性医薬品からはガンマ線が出ます)が目的とする臓器や組織に集まったところを、ガンマ線を検出するガンマカメラで体外から撮影します。撮影には、ガンマカメラが体の周りを回転しながら写す断層撮影法(SPECT)が広く用いられています。最近では、ポジトロン(陽電子)を放出するラジオアイソトープを用いた高性能の断層撮影法(PET)が普及してきました。
なお、当院ではPET装置はありませんので他の施設での検査となります。
患者さんは撮影ベッド上で静かにあお向けになっていただき、撮影の時間は20分~40分間程度で終了しますが、時間を空けて数回撮影することもあります。
また、検査によってはヨード制限食、ヨード剤投与による甲状腺ブロック、浣腸などの前処置が必要になることもあります。
使用する検査用の放射性医薬品には、半減期(放射能の減衰する時間)の短いラジオアイソトープが用いられ、診断用としてごく微量が投与されます。
当院で使用しているSPECT装置を以下に記載します。

当院のRI(SPECT)検査装置

 

当院で行われているRI検査の種類 

脳血流シンチ

Datスキャンシンチ

甲状腺摂取率測定

甲状腺シンチ

副甲状腺シンチ

安静時心筋シンチ

脂肪酸代謝シンチ

交感神経機能シンチ

肺血流シンチ

肺換気シンチ

肝アシアロシンチ

肝・胆道シンチ

レノグラム

腎シンチ

副腎皮質シンチ

副腎髄質シンチ

骨シンチ

Gaシンチ

腫瘍シンチ

骨髄シンチ

消化管出血シンチ

メッケル憩室シンチ

唾液腺シンチ

上記のように全身の広範囲で検査が行われています。ただし、全ての臓器・組織の検査が可能であるわけではなく、使用放射線医薬品の組織親和性の高い臓器・組織が検査対象となります。また、この検査はCTやMRI検査と比較して分解能には劣るものの、感度が高い特徴を有するためその有用性が高く評価されています。

当院で行われている主なRI検査の紹介

1)骨シンチ

骨に集まる放射性医薬品を体内に注射し、2~3時間後に全身を撮影します。検査時間は30分程度です。検査前に排尿していただき、膀胱部に集積しているRIを除いた状態で撮影を行います。
撮影後、およそ30分くらいで結果が出ます。

●主な検査目的

  • 骨折、骨腫瘍(骨転移を含む)、骨髄炎、関節炎、骨壊死などの診断
  • 前立腺がん、乳がん、肺がん(疑いも含む)などは骨転移しやすい癌と言われており当院においてそれを目的とするケースが多いです。

2)Gaシンチ(腫瘍シンチ)

67-ガリウム(67Ga)による全身シンチグラフィを用いて、腫瘍の原発巣ならびに転移巣の検出が行われています。(炎症の検出を目的に行われることもあります)最近では、FDGを用いた全身PET検査が行われることで診断精度が非常に向上しており、 67Gaシンチは減少傾向にあります。
前処置としては、検査前に浣腸を行います。なお、以前は検査前絶食を原則としていましたが、絶食不要のエビデンスが出たので現在は絶食は行っていません。検査時間は45分程度です。

 

3)脳血流シンチ

脳血流シンチ

脳変性疾患の代表であるアルツハイマー病やパーキンソン病などの診断に用いる検査です。脳血流低下領域を同年代ごとの正常者の脳血流パターンと比較し解析します。撮影は注射後15分から開始し、20分間撮影します。


脳血流シンチ アルツハイマー病疑

 

4)Datスキャンシンチ

認知症疾患の診断に用いる検査です。主にパーキンソン症候群、レビー小体型認知症における黒質線条体ドパミン神経の脱落の有無を調べることが目的です。
(他の検査でアルツハイマー病が否定的な認知症の診断に用いられることが多い)
撮影は、ダットスキャン静注後3~6時間後に脳のSPECT撮影を行います。それにより、黒質線条体ドパミン神経終末部のドパミントランスポーターの分布を反映した画像が得られ、画像解析を行うことで画像診断が行われます。


 

 

5)腎シンチ(レノグラム)

腎臓の形態の異常を描き出す「腎シンチグラフィ」と、腎臓の機能(働き)を診断する「腎動態シンチグラフィ(レノグラム)」があります。なかでも「レノグラム検査」は、他の検査では困難な左右の腎機能を別々に測ることができるため、腎臓病の患者さんの腎機能の診断に用いられています。
腎臓の病気には、全身疾患に伴うもの、腎臓の血管病変によるもの、腎臓自体の異常、膀胱や尿管の障害に起因するものなど、さまざまな原因があります。
レノグラム検査は、腎臓へのRIの集積と排泄の時間変化を動態画像収集によって計測するもので、その時間放射能曲線の形から腎臓病の診断がある程度可能です。
検査時間は30分程度です。

 

6)心筋シンチグラフィー

心筋梗塞や狭心症が疑われる方での冠動脈疾患の診断、冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症、無痛性心筋虚血ほか)と診断された患者さんでの重症度の評価、冠血行再建術治療の適応の有無、その治療の効果判定などに利用されています。最近では心筋症や心不全の患者さんにも利用される機会が増えてきました。
血流状態に応じて、心臓の筋肉である心筋にとりこまれ、集積する201Tl(タリウム-201)や99mTc(テクネチウム-99m)を標識にした心筋血流シンチ、123Iを用いた脂肪酸代謝シンチグラフィが代表的な検査です。
検査時間は20分程度ですが、注射10分後および3時間後の2回撮影行うこともあります。

 

 

 

RI検査の安全性について

RI検査では、ラジオアイソトープが体内に入るため、放射線の被ばくはあります。しかし、検査には半減期が短く、放射能の減衰の早い核種を使用しますし、投与量はごく微量です。
RI検査1回あたりの被ばく線量は0.2から8ミリシーベルト(mSv)程度ですので、放射線被ばくによる人体への影響はほとんど心配する必要がないと思われます。
また、わが国では放射線障害の事例は発生していませんが、放射性医薬品に対する過敏性による副作用はごくわずかながら認められます。
なお、授乳中の女性が検査を受ける場合は、授乳制限を行っていただき、乳児への放射線の影響を避ける配慮を行います。

 

お問い合せ

岐阜県厚生連 西美濃厚生病院 健診センター
TEL:0584-33-2175(直通) FAX:0584-33-2176
受付時間 平日:8:30~17:00

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